忘れないよ、
廊下には、もう誰もいない。
あたしひとり。
気付けば、涙が溢れ出していた。
「…惨めだ」
手を握り締める。
「…惨めなくらい、好きなのにね」
握り締めた手をゆっくり開く。
青空の青が目に沁みる。
神さまがつくったばかりなのだろうか、
生まれたてみたいに薄い青。
それとも天使が流した涙なのだろうか、
どこか重たく淀んだ青。
あたしはひとりぼっちだと思うと、
悲しくて寂しくて苦しくて。
「なんて、惨めなの」
と呟いて、壁に手をつき立ち上がった。