俺のこと、好きなくせに
そして俺も聞かせる言葉なんかない。
だって俺、理系だし。
こんな数十秒間で、この胸の内を的確に表せる言葉なんか、紡げる訳が、ないじゃないか。
背後でピシャリと扉の閉まる音を聞いて、俺は我に返った。
とりあえず、家に帰らなくちゃ……。
おばさんとは反対方向に体を向け、廊下を進み、正面玄関の自動扉を抜けながら、俺は瞳との今までの日々に思いを馳せた。
俺達が出会ったのは高校1年の春。
たまたま同じクラスになり、俺が「進藤」瞳が「須田」で、たまたま出席番号が近かったから週番なんかで一緒に組む事になり、明らかに他の女子より話す機会が多くなった。
選択コースが同じだったから2年に進級しても同じクラスになって、お互い気心が知れてるし遠慮なく冗談なんか言い合ったりしてて、周りからも「お前ら仲良いな~」なんて言われたりして。
気がついたら俺達は、当たり前のように、恋人同士になっていた。
一応瞳から告白らしきものはされたんだけど……。
いや、あれが告白と呼べる代物かどうかは定かじゃない。
売り言葉に買い言葉というか……。
普通「告白」と聞いて思い浮かぶような、ベタなロマンチックさは皆無に等しかった。
だって俺、理系だし。
こんな数十秒間で、この胸の内を的確に表せる言葉なんか、紡げる訳が、ないじゃないか。
背後でピシャリと扉の閉まる音を聞いて、俺は我に返った。
とりあえず、家に帰らなくちゃ……。
おばさんとは反対方向に体を向け、廊下を進み、正面玄関の自動扉を抜けながら、俺は瞳との今までの日々に思いを馳せた。
俺達が出会ったのは高校1年の春。
たまたま同じクラスになり、俺が「進藤」瞳が「須田」で、たまたま出席番号が近かったから週番なんかで一緒に組む事になり、明らかに他の女子より話す機会が多くなった。
選択コースが同じだったから2年に進級しても同じクラスになって、お互い気心が知れてるし遠慮なく冗談なんか言い合ったりしてて、周りからも「お前ら仲良いな~」なんて言われたりして。
気がついたら俺達は、当たり前のように、恋人同士になっていた。
一応瞳から告白らしきものはされたんだけど……。
いや、あれが告白と呼べる代物かどうかは定かじゃない。
売り言葉に買い言葉というか……。
普通「告白」と聞いて思い浮かぶような、ベタなロマンチックさは皆無に等しかった。