シュアリー×シェアリー
「ったく、あの阿呆」
雪子は舌打ちをして、冷蔵庫に向かいビールのプルタブを開けて一気にあおる。そして帰宅した時と同じように、何もなかったかのようにタバコをふかして窓際に腰かけた。
自分を慰めるわけでもなく、夏美の後を追うわけでもないその背中を黙ってみていると雪子が春樹を振り返った。なんて顔してんの、という表情でこちらを見つめ、明日早いんならさっさと寝ればとぶっきらぼうに告げ、また背中を向けた。
夏美を泣かせた雪子に多少の怒りは感じるものの、自分が思っていたことをあっさりきっぱり夏美に告げた雪子には同時に一種の爽快感も感じていた。少しずつ雪子の背中に近づき、隣に腰掛ける。
「…」
無言でこちらに目線を向け、スペースを空ける。
「さんきゅ…」
ふてぶてしく感謝の念を伝えると、雪子は別にーと対して興味もなさそうに空を仰いだ。
「別に春坊をかばったわけじゃない。夏美、あーゆーとこ直さないと最低な女になるから言っただけ」
「…うん、でも、ありがとう」
「…ビール」
「え?」
「春坊用のビール買っといたから、飲めば?」
ふっと不敵に笑って冷蔵庫を指さした。未成年に飲酒を勧めるとはだめな大人だと思いつつも冷蔵庫に向かい、戸をあけると雪子のビールと並んで子供用のビール飲料が並んでいた。子供用かよ、と文句を言うとあったりまえでしょと雪子が笑う。
「それ飲んで、お風呂入って、今日はもう寝ちゃいなさい。夏美は私がフォローしとくから」
まったくこちらを見ずに淡々と告げる雪子の言葉は、冷たいようで思いやりにあふれていた。狭い冷蔵庫に、ただでさえ入れる場所もないのに、ビールと同じ数だけ子供用のビールが並んでいる様子をもう一度確認して一気にあおった。
シャワーを手早く浴びて部屋に戻る前にもう一度感謝の気持ちを伝えると、少し怒った声でしつこいっつの、と撥ね退けられた。手にした携帯できっと夏美にメールをしているのだろう。わかりにくい奴、と思いながらもなんとなく肩の荷が下りた気分で、布団にもぐりこんだ。
雪子は舌打ちをして、冷蔵庫に向かいビールのプルタブを開けて一気にあおる。そして帰宅した時と同じように、何もなかったかのようにタバコをふかして窓際に腰かけた。
自分を慰めるわけでもなく、夏美の後を追うわけでもないその背中を黙ってみていると雪子が春樹を振り返った。なんて顔してんの、という表情でこちらを見つめ、明日早いんならさっさと寝ればとぶっきらぼうに告げ、また背中を向けた。
夏美を泣かせた雪子に多少の怒りは感じるものの、自分が思っていたことをあっさりきっぱり夏美に告げた雪子には同時に一種の爽快感も感じていた。少しずつ雪子の背中に近づき、隣に腰掛ける。
「…」
無言でこちらに目線を向け、スペースを空ける。
「さんきゅ…」
ふてぶてしく感謝の念を伝えると、雪子は別にーと対して興味もなさそうに空を仰いだ。
「別に春坊をかばったわけじゃない。夏美、あーゆーとこ直さないと最低な女になるから言っただけ」
「…うん、でも、ありがとう」
「…ビール」
「え?」
「春坊用のビール買っといたから、飲めば?」
ふっと不敵に笑って冷蔵庫を指さした。未成年に飲酒を勧めるとはだめな大人だと思いつつも冷蔵庫に向かい、戸をあけると雪子のビールと並んで子供用のビール飲料が並んでいた。子供用かよ、と文句を言うとあったりまえでしょと雪子が笑う。
「それ飲んで、お風呂入って、今日はもう寝ちゃいなさい。夏美は私がフォローしとくから」
まったくこちらを見ずに淡々と告げる雪子の言葉は、冷たいようで思いやりにあふれていた。狭い冷蔵庫に、ただでさえ入れる場所もないのに、ビールと同じ数だけ子供用のビールが並んでいる様子をもう一度確認して一気にあおった。
シャワーを手早く浴びて部屋に戻る前にもう一度感謝の気持ちを伝えると、少し怒った声でしつこいっつの、と撥ね退けられた。手にした携帯できっと夏美にメールをしているのだろう。わかりにくい奴、と思いながらもなんとなく肩の荷が下りた気分で、布団にもぐりこんだ。