シュアリー×シェアリー
春樹が撮影から帰ってきたときに、デートDVDの話をふると、案の定激怒して暴言を浴びせられた。夏美が持ってきて勝手に見ていた事を告げると、複雑そうな顔をして黙りこくった。
「なんだって」
「は?」
「だから、夏姉」
「…自分で聞いてくれば」
そっけない言葉を返すと拗ねた様子で教えてくれてもいいだろ、とまた興奮する。教えてやるから冷蔵庫からビールを持って来いと冷蔵庫を指さすと、珍しく素直にビールを持ってきた。ついでに自分の分も持ってきたので、ふざけんなとげんこつを落とすとしぶしぶ冷蔵庫に戻した。
「おっきくなったなぁ」
「…はあ?」
「だから、夏美の感想。春ちゃんおっきくなったなぁ」
夏美の声色を真似てご希望通り、感想を伝えると肩のあたりを殴られる。苦情は夏美に言いなさいよ、とビールを呷る。また暴言を浴びせられるかなと隣の春樹の様子をうかがうと珍しく本気で落ち込んでいるようで、ちょっと大丈夫?とつい心配するような言葉を投げかけてしまった。
「…」
「春坊、」
「春坊っていうな、クソババァ」
柄にもなく少し泣きそうな顔をして俯いたまま、憎たらしい事をいうので、怒るにも怒れず、ぽんぽんと背中をたたいた。なぐさめとかいらねえと怒った声を出すけれど、ますます顔を伏せてしまう。
「春ぼ…春樹だって、一応男だもんね」
「わかったような事言うな…」
「ん、ごめん」
本気で好きなんだ、と弱弱しく呟いてため息をつく春樹を気の毒に思いながら見つめる。きっとうまくいくよなんて言えない。でも無理だよとはねのけるのもかわいそうだ。生意気なことを言うのも、態度が大きいのも、夏美に追いつこうという彼の一途な思いが故なんだろうと思うと、雪子はなにも言えなくなるのだった。
「なんだって」
「は?」
「だから、夏姉」
「…自分で聞いてくれば」
そっけない言葉を返すと拗ねた様子で教えてくれてもいいだろ、とまた興奮する。教えてやるから冷蔵庫からビールを持って来いと冷蔵庫を指さすと、珍しく素直にビールを持ってきた。ついでに自分の分も持ってきたので、ふざけんなとげんこつを落とすとしぶしぶ冷蔵庫に戻した。
「おっきくなったなぁ」
「…はあ?」
「だから、夏美の感想。春ちゃんおっきくなったなぁ」
夏美の声色を真似てご希望通り、感想を伝えると肩のあたりを殴られる。苦情は夏美に言いなさいよ、とビールを呷る。また暴言を浴びせられるかなと隣の春樹の様子をうかがうと珍しく本気で落ち込んでいるようで、ちょっと大丈夫?とつい心配するような言葉を投げかけてしまった。
「…」
「春坊、」
「春坊っていうな、クソババァ」
柄にもなく少し泣きそうな顔をして俯いたまま、憎たらしい事をいうので、怒るにも怒れず、ぽんぽんと背中をたたいた。なぐさめとかいらねえと怒った声を出すけれど、ますます顔を伏せてしまう。
「春ぼ…春樹だって、一応男だもんね」
「わかったような事言うな…」
「ん、ごめん」
本気で好きなんだ、と弱弱しく呟いてため息をつく春樹を気の毒に思いながら見つめる。きっとうまくいくよなんて言えない。でも無理だよとはねのけるのもかわいそうだ。生意気なことを言うのも、態度が大きいのも、夏美に追いつこうという彼の一途な思いが故なんだろうと思うと、雪子はなにも言えなくなるのだった。