ユビキリ
ハジマリ

約束は仄暗く



ごう、と耳鳴りがした。

帰省途中の海浜公園。海浜と名が付くわりには、視界は防砂林で遮られ、海の景観は望めない。潮の香りがかろうじて風流を留めていた。

近くには空港があった。

どちらかといえば、海を眺望出来るというよりも、飛行機の離着陸が見える場所として知られているようだ。親子連れを始めとして、結構な賑わいをみせている。

私の耳に耳鳴りを残していったのは、飛び立った飛行機が、頭上を通り過ぎていったときのものだ。

見上げれば、眩しさに、顔が自然としかめられる。

耳と目が大きな刺激を受け、めまいを起こしたような錯覚に陥ったとき、近くから不意に大きな声がした。

「指切った!」

子どもの声。

きゃあ、と歓声が上がった。


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