★始まりはいつも☆
「見つけたぜ」


少年は私の手を掴む。
ギュッと握られた手は痛みで悲鳴を上げた。

異性に手を握られたの初めてかもしれない。
ドキドキとしてる心臓とは裏腹に、あまりにも強いため、もう片方の手で少年の手を叩く。


「痛いから」


ほんと不器用な私は声が怖いくらいに低かった。
どうしたら相手に気に入られるか、とか分からないせいでもある。


「あー悪い。俺は千歳だ」

「……そう」


自己紹介して、なんて言ってないのに。
でも怖いから言えないのだけど……。


「勝手に抜け出して数年……待ちに待った」


え、待ちに待った?
なんだか千歳って人、私のこと知ってるみたい。

私には家族もいないし、孤児院育ちだから……知り合いはその狭い空間でしかなかった。

でも、こんなに顔が良い子は見たことない。
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