社長の彼とあたしの最後の恋愛


――淡いクリーム色の壁。


柔らかいソファーに、光りが穏やかに差し込む明るい室内。



そして遠くから、赤ちゃんの泣き声が聞こえる。


「来ちゃった」



初めて来る産婦人科は、当たり前だけど、妊婦さんばかり。


まさか、自分がここに来る事になるなんて。


緊張で震える手を握りしめて、あたしは待合室で待っていた。



「内田さん、内田亜美さん」


「はい…」


うわ~。とうとう、呼ばれちゃったよ。




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