夏休みのTシャツ
それでも嬉しくって舞い上がっちゃう。

片づけの続きもうわの空。



急に誰かに肩を叩かれてびっくりする。


「優希、大丈夫?ぼ~っとしてる。っていうかニヤけてない?」

「えっ?なんだ恭ちゃんか。」

「なんだって何だよ。さっき高田くんと話してたでしょ?何の話、したの?」

「いわなぁい。秘密だもん。」

「ふ~ん。そんなこと言っていいの?高田くんに言っちゃうよ?」

「ん?何を?言われて困るようなことないよ。」


高田先輩を『くん』で呼べる恭ちゃんがうらやましい。あたしはまだ『先輩』だから。


「優希が高田くんのことスキだって。」

「だから!!スキじゃなくって憧れなの。」

「じゃあ、スキじゃないの?」

「そんなことは言ってないけど……」


恭ちゃんは笑って言う。

「言うわけないじゃん。あっ、もう帰るって。母さんが呼んでる。まぁこの話は今度ごゆっくり聞かせてもらいます。
優希、口。
とがってきてる。」

恭ちゃんが自分の口を指差したあと、笑う。

あたしは、あわてて口をおさえると同時に、恭ちゃんの不意打ちの笑顔に一瞬ドキッとした自分に困る。



ちくしょお。またやられた。


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