夏休みのTシャツ

・もっと強く

「…大丈夫、ですか?」

近づいてきたその人は控え目に声をかけた。

この人の声、知ってる。聞いたことある気がする。



もう一度、涙を拭いてゆっくり振り返る。



「ごめんなさい、大丈夫です。」

顔をあげた瞬間に目があったのは……

うそっ?!


「高田先輩。」

思わず声が出てしまう。

「やっぱり泣いてたの?」

先輩は座り込むあたしの横にしゃがんで尋ねた。

やっぱり、って?

「そっそんなことないですよ!!」

ヤバい、声が震えてる。

「泣いてたでしょ?知ってるよ。ずっと見てたんだ、ごめんね。」

……………。

「えっ?ずっとって、いつから見てたんですか?」


「壁に寄りかかって座り込んだあたりぐらいかな。」

「それって、結構前からですよね?」


「まぁ、そういうことだね。」

先輩は照れたように笑って続けた。




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