夏休みのTシャツ
軽く右手をあげて、また歩く先輩。

優しかったなぁ、なんてボーッとしてたら、今度は先輩が何かを思い出したように振り向いた。


「そうだ!敬語使わなくていいよ。なんか堅苦しいっしょ?」


「あっ、はい。」


急だったからこれしか返事出来なかった。



でも、今日はスゴいたくさん喋れちゃった。


夢みたい。




顔を一度洗ってから観客席に戻ると、ちょうど恭ちゃんの試合が始まるところだった。


恭ちゃんは2回戦で負けた。



やっぱりショックが響いてるのかな?



しばらくして戻ってきた恭ちゃんと目があったけど、すぐにそらされる。

また涙が出そうに右手を掴んで必死でこらえた。



大丈夫、大丈夫。

泣かない、泣かない。




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