服従の宴―契約―
奪われた唇
昼下がりの学校の眠気を誘う晴天。貴重な四十分間の休み時間に生徒たちは思い思いの青春を過ごす。
寝不足で朦朧としながら、重い体で非常階段までやってきた一人の男子生徒がいる。
教室じゃ煩くて仮眠がとれないからという理由で、この非常階段がお気入りの仮眠場所らしい。
人の気配がなく、静かで日当たりがいい。彼が見つけた最高の場所だ。
狭い扉を開いて、いつもの定位置に座る。あとは目を閉じれば……四十分間のつかの間の至福の時が訪れるはずだった。
それなのに────
その日の非常階段はいつもの彼の仮眠場所にはならなかった。
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