服従の宴―契約―

─────「顕斗、おはよう。今日も学校行くの?」


「母さん……普通は毎日学校に行くんだよ」


 顕斗は伸びをすると、大きく欠伸をした。そんな顕斗を、母親は嬉しそうに眺める。


「顕斗は、真面目ねぇ。誰に似たのかしら? 私が高校生の頃は、学校なんてほとんど行かなかったわ」


 誰に……て、そんなの知りたくない。と顕斗は母親を睨みつける。

 それを、ふふふ、と笑って受け止め、顕斗の頬にキスをした母親。

 
「あ、でも顕斗を十五で産んでるからママは高校には行ってなかったわ」と思い出しように、また笑う。


 だから、水商売しか職がないんだ……俺は毎日学校に通って、絶対に普通の仕事に就いてやる。と、顕斗は奥歯を噛み締めて起き上がる。


 こんな狭いアパートからも脱出したい。ネオン街からも抜け出したい。


 

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