服従の宴―契約―
俺の周りには、こんな大人しかいない。
誰かに告げ口する気なんてない。口にするだけでも、相当な気苦労をしそうだ。
ただ、同情はしている。
高そうな時計に靴、贅沢品の煙草。勤務中に生徒に手を出して、自分の教師生命を心配するこの男に、心底同情していた。
そして、そんな男に絡まれている自分自身にも同情していた。
徳田は首を傾げて、顕斗の顎を右手で掴む。
「なんだ、その冷めた目……」
顕斗の背中がコンクリートの壁にあたる。
「それに、口の効き方がなってねーな。大人には敬語使えよ」
「大人だからって何が偉い?」