服従の宴―契約―
替えの蛍光灯なんて、この部屋にはない。四畳半の畳を踏んで、色褪せたカーテンを全開にした。
ネオン街の真ん中にあるオンボロアパート。
光はたくさんあるんだ……と顕斗は思った。
虫を呼び寄せるように、人の欲望を呼び寄せるネオン街。下品な光は、ここにたくさん溢れてる。
ただ、それは顕斗のための光じゃなくて……例えば会社帰り一発ぬいてから帰ろうとか企んでるオヤジとか、を呼び寄せる光。
顕斗は、産まれた時からずっとこのアパートで暮らしてきた。母親と二人きりで、生物学上の父親というものは存在するんだろうが、最近はそんなことを考えるだけ無駄だと気がついていた。
母親の上を一晩で何人の男が通過していくのか、わからない。