恋色カフェ
顔が、一気に熱くなった。
私が何を言おうとしたのか、この人には見透かされていたんだ、という恥ずかしさと、やっぱりこの人には敵わない、という悔しさで。
頬から耳へと店長が指を這わせると、ゾクリ、と身体は甘く震えた。
「してほしければ、素直にねだれば?」
髪が耳に掛けられ、顕になった耳朶に熱い息がかかる。
その時、不意に頭に浮かんだのは、万由さんと勝沼君の台詞。
“お客さんに手を出して…”
その手で、何人の女性に触れたの……?
────嫌、だ。
頭を振ると「何?」と店長は驚いた声を上げた。
「…………素直に言えば、お仕置きやめてくれますか」
こんなこと、言いたくないのに──嫉妬心が、心を掻き毟る。
私の言葉に、店長は虚を衝かれたような顔をした。
「……仕方ないな」
──でも。
悔しいぐらい、私はこの人が好きなんだ。
「ちゃんと……キス、して下さい」
満足そうに優しく微笑んだ店長は何度も、深く、蕩けそうな極上のキスをくれた。