恋色カフェ
待ち合わせ場所に現れたあかねは、居酒屋で働いていた頃と変わりなく、輝くような明るさを振りまきながら近づいてきた。
「あかねが変わってなくてホッとした」
「え、ちょっと。それって成長が無いってことー?」
「違うよ、良い意味で根っこの部分が変わってないってこと」
「んー。よくわからないけど、わかったことにする」
「何それ」
笑いあう私達の空気感も前と変わっていなくて、安心する。
「彗は何となく、キレイになった気がするんだけど」
「えっ……そ、そう?」
いい恋してたりして、と言って、彼女はふざけて肩をぶつけてくる。
──いい恋、なんだろうか。
曖昧に答えていると、その辺は後でじっくりとだな、と言いながら私の手を掴むと、店へと入っていった。