恋色カフェ
あかねとは店の前で別れ、私は夜の街に一人、足を踏み出した。
特に飲み屋街という訳でもないここは、車道に面していることもあるのか、人通りも少なく、自然と背中や肩に力が入る。
暗闇に注意を払いながらも、頭には秀人のことが浮かんでいた。
最近はめっきりだったけど、前は二人でよくドライブにも行ったっけ。どちらかと言えば今ぐらいの時間が多かったかも。
通り過ぎる車を見ながらそんなことを考えていると、秀人が乗っていた車と全く同じ車が私の脇を通り過ぎて、一瞬ドキリとする。
「タイミング良すぎ……」
私は心臓に手を当てながら、誰にも聞こえない声で呟いた。
──秀人を好きになれていたら。
今頃私達は、どうなっていたのだろうか。