恋色カフェ
『本当に着拒しなよ』
別れ際、念を押すようにあかねがそう言ったことを思い出し、私は鞄の中から携帯を取り出す。
──と。
突然震えだしたそれに、私は悲鳴を上げそうになった。
「……もしもし」
《こんばんは》
聞き慣れない電話の声が、何だかくすぐったい。
「こんばんは」
クスリと笑いを零しながら言うと、何笑ってんの、と向こうも笑っている。
《今一人?》
「はい」
《残念だな。相手が確認できなかった》
「……え?」
《そんなミニスカートを穿くのは、俺の前だけにしてよ》
驚いて周りを見回すと、少し後方に店長の車が停まっている。