恋色カフェ
もしかして、意外と店長って束縛するタイプなのだろうか。それとも私が信用無い、とか……?
そんなことを思っていると、車内に流れていたラジオの声が、耳に飛び込んできた。
《緑区四ツ葉町の路上で起きた通り魔的な切り裂き事件は、まだ依然として犯人は捕まっておらず……》
ドクリ──と、心臓が嫌な音を立てる。
四ツ葉町……って、まさに私がさっきまでいた場所だ。
確かに、今日はずいぶんパトカーが多いな、とは思っていたけど。
「店長、あの、もしかして……っヒャ、ッ」
森谷店長は私の髪を不意にかきあげ、耳に息を吹きかけたものだから、妙な声を上げてしまった。
「あ、危ないです、って!」
「今、信号待ちだから大丈夫だよ」