恋色カフェ
「……頭の中が覗けたらいいのに」
「何、物騒なこと言ってんの」
店長は笑いながらそう言った。
こんなこと、口に出すつもりはなかったのに。だけど、そうでもしければ今のこのモヤモヤした気持ちをおさめる術はなくて。
「俺の頭の中が透けて見えるっていうことは、彗の頭の中も俺に見られる、ってことだよ?」
「……それは、嫌です」
「随分、勝手だな」
店長はそう言って、また笑っている。
──そう。私はいつだって、勝手だ。
こんな勝手でズルい女に成り下がった私でいいんだろうか、と。3年で変わった、今の私のことを店長はどう思っているのか。
ふわふわと、今にも飛んでいきそうな彼の、本当の心が知りたくて仕方がない。