恋色カフェ
「──こんばんは」
迎えた、約束の日。
店長が言いだしたことだから、彼が今日ここに来るのは当然のこと……だけど。
扉を開けた先に立っていた森谷店長を見て、私は、ドクリ、と胸が鳴った。
「なにぼんやりしてるの。早く中に入れてよ」
「あ、ど、どうぞ」
お邪魔します、と普通の挨拶をして靴を脱ぎ、玄関マットへと足を乗せる。
気がつけば私は、店長の一つ一つの動作を目で追っていた。店長と視線が合ったら気まずい、と慌てて逸らす。
「おー。なんか、いい匂いがするな」
期待してる、と耳許で囁かれても、何だかいつものように反応することが出来なくて。
「どうした?」
「……っ、え」
「もしかして、緊張してる?」