恋色カフェ



「今日は彗と、ずっと一緒にいるんだから」


その言葉が、私の耳許で落とされた──、と思えば。



「……ッ……!」


カリ、という小さな音と共に走った、痛み。声にならない声を上げると、くすり、と小さな笑い声が聞こえた。


「耳、弱いの?」


耳朶にかかる、熱い息。その刺激に身を捩れば、今度はぬるりと温かい感触が耳朶を襲う。



「やめ……ッん……」


──完全に面白がってる、この人。


耳を這う温かい舌先と厭らしい水音に、心臓はドクドクと大きな音を立てる。



「……止めてほしい?」

「……っ、え」


「これはさっき“店長”って言いかけた、お仕置き」


< 160 / 575 >

この作品をシェア

pagetop