恋色カフェ
店長、という言葉に、心が過剰に反応する。
勝沼君に動揺が悟られないようにと、私は意味もなくデスクの引き出しに手を掛けながら、だから尚更ね、と答えた。
「1人で仕事するのって、寂しいっすよね」
「んー……まあ。でも私の仕事はほとんどここでしか出来ないから」
「俺が、」
「……え?」
「来ますよ、事務所に」
伏せていた顔を上げると、勝沼君は私を真っ直ぐ見つめていて、ドキッとする。
「高宮さんがサボってないか、監視しにね」
ニヤリと笑みを浮かべた勝沼君を見て、私は息を吐き出していなかったことに気づいた。
──時々、彼は私をドキリとさせる。