恋色カフェ
「そうっすね、間違いなく」
勝沼君が段ボールから取り出して私に見せたのは、サンプル、と大きく書かれた、コーヒー豆。
思わず勝沼君と顔を見合わせて、笑った。
「お疲れー」
噂をすれば。
ガチャリと、大きな音を立てて事務所に入ってきたのは、少し疲れた顔をした、店長。
何となく、今度は3人で見合う形になって、一瞬の間が空いた。
「お疲れっす」
「……勝沼」
「はい」
「ここで油売ってないで、店出ろ。混んで来たぞ」
「いや、店長がさっきこれを……」
「ああ……。いい、俺が持って行く」
店長は少し不機嫌そうに勝沼君からサンプルを受け取ると、ドカリとソファーへ体を沈める。