恋色カフェ
それを知らない私は、幸せなのか、不幸せなのか。
そもそも、知らないことが何なのかがわからないのだから、自分では判断できない。
今頃、店長は万由さんと仕事の話をしているのだろうか。
……あんな感じで、フロアではいつも仲良さそうに話しているのだろうか。
「あー、もうっ」
つい、ため息を吐きそうになって、それを振り払おうと、大きな声を出してからパソコンに視線を移す。
こんな時は、一人で仕事をしていて良かった、と思う。
『──あれ、聞いてないすか?』
ふと、頭にさっきの勝沼君の声が響いた。
万由さんのことだけ、じゃない。
ここにいて寂しさを感じるのは。
不安に思うのは。