恋色カフェ




「お疲れさま~」


その声に顔を上げると、遅番のスタッフが事務所を出て行くところだった。


もうそんな時間だったんだ。仕事に没頭していたから、アンバーが閉店していたことすら気がつかなかった。



店長は、あれから事務所に姿を見せる度、誰かに連れ戻される、という繰り返しで。

おかげで、海外行きのことはおろか、朝から一言も話せていない。



妙な緊張がいつの間にか消えていたのは良かったけど、丸一日話せないというのはさすがにキツい、と感じる。


これなら休日にしか会えない方が、割り切れるだけまだましかもしれない。



デスクの上を片付け、帰り支度を始めていると、事務所の扉がガチャリと音を立てた。


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