恋色カフェ
「お疲れー」
目に飛び込んできたのは、何時間かぶりの、店長の姿。
真っ直ぐこちらへ歩いて来たと思えば、店長は持っていたテイクアウト用のカップを私の前にことり、と置いた。
「飲んで」
私が言葉を発する前に、彼はそう言ってこちらに微笑を向ける。
「いつも残業してくれてるから、たまには労わないとね」
愛しい、声が────やっとこっちを向いた。
店長と話が出来たことが純粋に嬉しくて、口許がにやけそうになる。私は気づかれる前に、ご馳走になります、と言ってそれを口にした。
「どう?」
「美味しい……」
苦味と甘みが程よく感じられて、私の好みの味だ。
でも……何となく、いつものアンバーのブレンドと違う気がする。