恋色カフェ
「あの、これって……」
「気づいた?」
店長は私の言葉に、嬉しそうな顔を見せる。
「アンバーのブレンドじゃないよ」
「やっぱり」
「さすが、彗もうちのコーヒーを飲み慣れてるだけあるね」
店長は私の手からカップを奪うと、一口それを飲みこむ。頷きながら、やっぱりこれだな、と言って、私の手にカップを戻した。
「シティローストしたグアテマラをベースに、何パターンかブレンドする豆を変えてみてもらってたんだよ。
さっき勝沼がサンプル持ってただろ。そのうちの1つがこれ」
やっぱり、コーヒー豆のことを話しだすと、店長の顔つきが変わる。
本当にコーヒーが好きなんだな、店長。
そんなに愛おしそうな顔をされると、相手はコーヒー豆だというのに、妬いてしまいそうだ。