恋色カフェ
「……私だって」
「ん?」
「本当は……寂しい、です」
まんまと、ペースに乗せられたのかもしれない、けど。
私は、思い切って本音を告げた。
「最初から素直にそう言えばいいのに」
そう言いながらも嬉しそうな顔をして、店長はまた私にキスを落とす。
「彗を、もっと刻みつけたい」
次第に深くなるキス──唇から漏れる、甘い吐息に酔いそうだ。
こんなに幸せで、いいのだろうか。
あまりに幸せすぎて……恐くなる。
たとえ、店長の本心がどうだとしても、今、この瞬間を信じたい。
「足りないよ、もっと」
麻薬のようなキスに、溺れて、溺れて。
私は、いや私達は、事務所の扉が半開きだったことを忘れていた。
近づいてきた足音にも、気づくこともなく────。