恋色カフェ

煽動

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空を見上げれば、今にも冷たい雫を落としそうなグレーの空が広がっていた。



──もう、着いた頃かな。


この空は店長の向かったグアテマラともつながっているんだ、と思うと、少しだけ寂しさが薄らぐ気がする。


グアテマラとの時差は確か、15時間。計算すると、向こうは今、深夜。

メールするのはお昼にしよう、と私は携帯を鞄に仕舞った。



店長がグアテマラ行きを決めたのは、アンバーの新しいブレンドを偶然、グアテマラベースで考えていたから、だったらしい。


『収穫される前のコーヒー豆を見てさ、グアテマラの空気を実際に肌で感じてからコーヒーを淹れたら、何か違う気がするんだよね』