恋色カフェ
────────……え。
パラパラ、と雨の音が辺りに聞こえ始めた時。私の心には一滴の疑問が落ち、染みをつくった。
この空気、知ってる。
「……、」
アンバーに着いて、いつものように、おはよう、とただ挨拶しようとしただけだったのに。
すれ違うスタッフはみんな、私から目線を外し、逃げるようにいなくなっていく。
(……これって、)
──思い出したくないことが、一瞬でフラッシュバックする。
昔、森谷店長と、激しく衝突した翌日。
今まで、一緒にお店の愚痴をこぼし合っていたスタッフまでも、私と距離を置くようになっていた──。
あの時の、苦い気持ちまでもが蘇ってきて、余計に動揺する。