恋色カフェ
「……疲れた」
事務所に体を滑り込ませると、朝には言うこともない言葉と、盛大なため息が勝手に口から零れ落ちた。
いつもはこの静かな事務所に寂しさを感じることもあるけど、今日はこの静けさが落ち着く。
結局、今いるスタッフの中で態度が変わっていなかったのは、フロアマネージャーただ一人だけだった。
彼は主に店長のいない時、本部から派遣される社員だから、事情を知らないだけなのかもしれないけど。
仲良くしていると思っていた怜ちゃんにまで避けられるなんて……ダメージは大きい。
何気に対面にあるデスクに目を向けると、目に飛び込んできたのは、勝沼君の名前。
そうだ──彼はどうなんだろう。