恋色カフェ




──ふと時計を見れば、そろそろ夕勤の休憩時間に差しかかろうとしていた。


余計なことを考えたくなくて、仕事に没頭していたせいか、こんな状況にもかかわらず、時の流れがいつもより早く感じさえする。


勝沼君が休憩に上がって来る前に従業員口にあるポストへ行っておこう、と、私は重い腰を上げて事務所の扉を潜った。



事務所のすぐ隣が、スタッフの休憩室。

早足で通り過ぎようとした時、ドアが少し開いていたのか、スタッフの会話が鮮明に耳に飛び込んできた。



『意外としたたかなんじゃない、高宮さんって』

『あんな、虫も殺さないような顔してるのにね』

『で、やることもやって』


湧き上がる笑い声に、背中が一気に冷えていくのを感じる。何、一体何のこと……?


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