恋色カフェ


訊かれて当然だというのに。そこまで頭が回らず、身構えるのが遅くなった。

私が動揺したのを見逃さなかった勝沼君は、また困った顔で微笑む。



「あるんすね」

「……」

「無理には、訊かないっすけど」


どうしたらいいかわからず、口は結んだままで開くことが出来ない。



「そんな顔しなくても大丈夫。俺は、高宮さんの味方だから」



左側から、温かくその言葉が私を包んだ。



「たとえ高宮さんが優遇されていたとしても、それは高宮さんが悪い訳じゃないし」


恐る恐る勝沼君の方を向くと、首を傾げていつもの笑顔を見せている。



信用、出来るだろうか、彼を。


< 199 / 575 >

この作品をシェア

pagetop