恋色カフェ
「俺も週末シフト入った時に、この話をあちこちから聞かされたから始めはわからなかったんすけど、辿ったらあっさり」
「小さい店だから、当然と言えば当然っすよね」と続けながら、勝沼君はテイクアウト用のペーパーカップが入った袋を手にする。
一体、誰なんだろう。
もちろん、気にはなるものの──真実を聞くのは少し、怖くもある。
「……言っても大丈夫?」
恐らく、出処を教えることで私が余計に傷つくのではないか、と気遣ってくれたのだろう。だって、この店の誰かであることは、間違いないんだから。
──でも。
恐くても傷ついても、聞かなければその先に足を踏み出せない。
私は勝沼君を真っ直ぐ見据えてから、頷いて見せた。