恋色カフェ
振り返った勝沼君は怪訝な顔をしている。
「勝沼君を巻き込む訳にはいかないよ」
「俺は構わないっすよ」
「だって、もし勝沼君まで中傷されるようなことがあったら、」
「そんなの気にしないし」
「私が気にするよ……っ!」
私はぐっと、奥歯を噛みしめた。でないと、泣いてしまいそうな気がしたから。
「お願い……勝沼君は何も言わないで」
「でも……」
「……私が……万由さんに直接、確かめてみるから」
どうして彼女がそんなことを言ったのか。私が訊けばいいだけの話だ。
「……わかりました。高宮さんがそこまで言うなら、俺からは何も言いません。
でも……俺は、高宮さんの味方っすから」
勝沼君は心配そうな顔でそう言うと、先に出ます、と言って倉庫から出て行った。