恋色カフェ
宣戦
■□■□■□■
扉の開く音と、失礼します、という声が、遠くの方で聞こえた──。
ここは、防音という訳ではないけど、セキュリティの関係上、壁や扉が他の部屋よりも厚く出来ている。
それは、昔働いていた時から聞かされていたこと。だから、以前も内緒の話は大抵ここでされた。
勝沼君が休憩時間にここを使ったのも、そういう理由からだっただろう。
もう一度、カチャン、という音が聞こえて、私は小さく息を吐いた。
こんなところで、ビクビクして。私は、一体何をやっているんだろう。
人に顔向け出来ないようなことをした覚えはないのだから、堂々としていればいい。
……そうとわかっていながら、事務所にタイムカードを押しに来る早番を避けようと、倉庫に逃げ込んでいた。