恋色カフェ



瞬間、降り注いだ視線──。


が、気まずそうな顔ですぐに逸らされ、休憩室は静寂に包まれる。

この空気、やっぱり嫌だ。



「行きましょうか」

「行きましょう、って……」

「ここじゃなんだから、場所変えたいんだけど」


万由さんの様子は、ただ、淡々と事務的、という感じだ。何を言おうとしているのか、何を考えているのか、表情からは全く読み取れない。



私達はアンバーから程近い、ドーナツが美味しいカフェに場所を移すことにした。


人気店だからお昼も大抵混んでいるけど、夕方も夕方で、会社帰りのサラリーマンやOLさん達で満席状態。

いつもなら煩わしく感じる人の多さが、今日は私を安堵させる。


< 209 / 575 >

この作品をシェア

pagetop