恋色カフェ
万由さんが、これから何を言おうとしているのか。
気づけない程、私は鈍感じゃない。
「その様子なら、私が何を言おうとしてるか、わかったんだよね?」
口角は上がっているものの、彼女の眼光の鋭さに、私は身じろぎ一つ出来ずにいた。
「まさか、スタッフが帰った後に、店長とあんなことをしていたとはね」
万由さんの、険のある語尾に、心臓が嫌な跳ね方をする。
「どうりで、高宮さんは残業が多い訳だ」
「私はそんな……」
「でも、現にそうだったじゃない」
言葉が、出てこない。
違う、と否定したいのに。