恋色カフェ



万由さんが、これから何を言おうとしているのか。


気づけない程、私は鈍感じゃない。



「その様子なら、私が何を言おうとしてるか、わかったんだよね?」


口角は上がっているものの、彼女の眼光の鋭さに、私は身じろぎ一つ出来ずにいた。



「まさか、スタッフが帰った後に、店長とあんなことをしていたとはね」


万由さんの、険のある語尾に、心臓が嫌な跳ね方をする。


「どうりで、高宮さんは残業が多い訳だ」

「私はそんな……」

「でも、現にそうだったじゃない」



言葉が、出てこない。

違う、と否定したいのに。


< 211 / 575 >

この作品をシェア

pagetop