恋色カフェ
後ろ足で砂をかけたあなたも、私と同じくらい砂をかぶったんじゃないの……?
「万由さんも、店長のことが好きなんでしょう?」
彼女の姿を真正面に捉えてから言葉をぶつけると、万由さんは目を見開いた。
「好きな人のことを、そんな風に言ってしまって、いいの?」
束の間、私達の間に流れた、静寂──。
それをゆっくり壊すように、万由さんは嘲笑した。
「バッカみたい」
「……え、」
「なるほどね。店長もこういう子なら付け入りやすい訳だ。私も見習わなきゃ」
クスクスと、万由さんはまだ笑いを零している。訳が分からない私は、困惑するだけで。
「まさか、高宮さんに気づかれているとは思わなかったけど」