恋色カフェ
「ありがとう。私の我儘を聞いてくれて」
「……、」
「勝沼君は、本当に優しいね」
いえ、とだけ答えて、勝沼君は、そろそろ出ましょうか、と伝票を掴んだ。
「えっ、ちょっ……」
「今日はおとなしく奢られて下さい」
「だ、だって、」
「大した金額でもないし。たまには俺にカッコつけさせて下さいよ」
薄く笑みを浮かべると、さっさと会計を済ませて、すぐに店を出てしまった。
「ごめん……ご馳走様です」
微笑んだ勝沼君と並んだ形になって、結構背が高いんだな、なんて改めて思う。
目線の位置はもしかしたら、店長より高いんじゃないだろうか……って
────自滅。
比較対象に、今、店長を引っ張りだすとか。