恋色カフェ
その場にいる人達にわざと聞こえるようにか、万由さんは普段よりも大きめな声で言う。
「今日、1週間ぶりに店に来るね、店長」
棘は無く、ただその言葉通りの語調は、逆に意図を感じさせた。
こんな時涼しい笑みでも見せれば、少しは牽制になるのかもしれないけど。さすがに、そこまで私は強くない。
部屋の片隅からは、クスクスと小さな笑い声も聞こえてくる。
──ここに、長居は無用だ。
「……そうだね」
それだけ言って、素早く休憩室から立ち去り、事務所に逃げ込んだ。
私が居なくなった後にどんな話をしているかなんて、想像つき過ぎて嫌になる。
店長からはゆうべ、メールが来ていた。