恋色カフェ
“ただいま”
その、たった一行。
何も知らなかった時なら、それだけでも嬉しかった筈。
でも────。
『適当にセックスして飽きたら、簡単に捨てられるよ』
『“唇を奪えば簡単だろ”って』
あれから、ずっと考えていた。
アンバーに復帰したその日。森谷店長は密室にした倉庫で、私の唇を奪った。
それが、本当はどういうことだったのか。
以前、店長に好意を持っていた私なら、簡単だ、と。実際、たやすく落ちた私を見て、心の中でほくそ笑んでいたのだとしたら。
──そうは、思いたくない。
『俺の前から、いなくなるな』
あの切なく響いた店長の言葉が、その場の誤魔化しだった、とも。