恋色カフェ





ふぅ、と。事務所内に、盛大なため息が響き渡る。ああ、また。ため息なんて吐きたくないのに。


勝手に吐き出されるそれが、そのうち事務所を二酸化炭素だらけにしてしまうんじゃないか、って本気で思ったりして。

だって、現にここは息苦しい。



時計を見れば、アンバー開店から10分程が経過していた。

今日はきっと、店長はフロアに行きっぱなしになるんだろうな。


引き出しからペンの替芯を取り出して交換すると、ちょっぴり幸せな気持ちが心に滲んでくる。


──そっか。

こんな時でも、幸せは自分次第で感じることが出来るんだ。そう気づいたら「よし」と口から勢いを伴った声が勝手に吐き出されていた。


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