恋色カフェ
やっぱり、変な顔をしているのか、私。見せたくなくて顔に手をやると、何か生温いものが指先に触れた気がした。
「……泣くなよ」
私、泣いてるの……?
「そんなに、寂しかった?」
一瞬、ニヤリとした顔が視界に入ったと思えば、すぐに後頭部へと手が伸びてきて、私は彼の胸に引き寄せられた。
────温かい。
店長がいなかった一週間、私はずっとこの温かさを求めていたんだ、と。こうされて心底思い知る。
(やっぱり、失いたくない)
誰にどんなことを聞かされても、宣戦布告されても私は、この温もりを失いたくないんだ。
「……ッ、っ」
「本当にどうしたんだよ、彗。今、仕事中だよ?」