恋色カフェ



────というのは、表向きで。


店長は、さっきの言葉がどういう意味だったのか、彼なりに探ろうとした、らしい。

何気なく、こちらに振られた視線。視界には入っていながらも、私はそれに応えることが出来なかった。



(どうすれば、良かったんだろう……)


どんどん、話すタイミングを失っていってるような気がする。

さっき視線を合わせても、もう手遅れだったんじゃないか、と。そう思えてならない。



彼に話せなかった、理由────。


ずっと心の中で誤魔化して、わからないふりをしていたけど、本当はちゃんとわかっていた。



ただ、怖かったのだ。

このことを話した時、返ってくる言葉が。


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