恋色カフェ
確か、飲み会の途中で眠くなってしまったような気がする。
それからずっと眠っていたのか、それとも途中で起きたのかすら全く記憶がない。
それに──どうして、勝沼君が。
細身で華奢だと思っていた勝沼君は、やっぱり男の子で。階段を上る時、私を楽に抱えあげた腕にそれを感じた。
いつもと違う雰囲気。いつもと違う視線。
いつもと違うことが積み重なっていく度、生まれた“妙な意識”が私を動揺させる。
「……ありがとう。家、ここだから」
何にせよ、彼には迷惑をかけてしまった。せめて早く家に帰してあげなくては。
掴んでいた服からすぐ手を離し、もう大丈夫だという意思表示の意味で、私はフラフラしながらも彼から距離をとった。