恋色カフェ
「────……、」
ドアを開け、体を室内へ滑り込ませ、ドアを閉めようとした筈──なのに。
何かが挟まった?
そう思ったのも一瞬だった。
(え……)
ドアの隙間から見覚えのあるシャツが覗く。それを辿れば、ドアに掛かっていた細い指。
ドアはあっという間に開かれ、目の前に再び現れた姿を、私はただ凝視していた。
パタリ、と無情な音を立てて、ドアが閉まる。
「ちょ、っ……!」
「しっ」
まるで煙たそうな目で、彼はこちらを見つめる。
「お願いだから、大声は出さないで」