恋色カフェ



ミーティングの為に階段を下りていると──不意に叩かれた、肩。


「おはようっす」

「あ……勝沼、君。昨日はありがと、ね」


昨日の今日でどうしたらいいかわからず、挙動不審な態度で不自然に視線を逸らしてしまった。


「ゆうべ、ちゃんと寝ました?」

「え、ああ……うん」

「本当かなぁ。ベッドまで運べば良かったかな」



勝沼君が明らかに冗談で言ったことまで、変に意識してしまう。こんな態度じゃ、勝沼君のことを……。


「そんな顔しないで下さいよ」

「……、」

「彗さんにそんな顔されたら、さすがに応えるんで」



今私のこと『彗さん』って呼んだ……?


そう言えば、ゆうべもそう呼ばれたような気がする。


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