恋色カフェ
「……ご、めん」
「もー、昨日からそればっか。俺、その言葉は必要な時以外聞きたくないんで」
そう言って勝沼君は、口許に笑みを浮かべた。
「行きましょう」
「……うん」
私がもしも逆の立場で、勝沼君にこんな態度をされたら、きっと傷つく。
中学生や高校生でもあるまいし、しかも私の方が年上なのに。何、やってるんだろう。
わかっている、けど。心が、全然追いつかない。
「彗さん、早く」
階段の途中で立ち止まっていた私を振り返った勝沼君は、爽やか、という言葉が似合う。
時折、笑顔から八重歯が覗くところがまた可愛くて、魅力的で。
────どうして、私だったんだろう。
そんなこと、きっと本人だって答えられない。